ハイネ

ご訪問有難うございます。「美しい何か」を、発見されることを希望します。 「未だ耀き出でざる数多の曙光有り」の箴言が有ります。 亦、コモンセンスを堅持されます様に。 触れた手が 時の運とは 言ふものの たれか知るらむ 恋の行くえを 三月や ベランダ薫る ハーブ時 失せし恋路の 今は何処に 格好は着けたのですがネ、ブログはビギナーでlivedoorさんのブログソフトは全く不案内なんです。ブロガー諸賢様何卒宜しくお願い致します。

ひろ子が何処かに隠れていて、「今日はサプライズしょうと思って」と、どこからともなく現れて、「あなたお帰りなさい。寂しかっわ、“チュゥ”」と、目を閉じて透き通る様な白い頬を突き出して来るのでは、と密かに願ったのですが、それは有りませんでした。部屋の状態は何時もと変わり有りませんでしたが、只僕が大枚を叩いて彼女の誕生日にプレゼントした極煽情的なインナーは、衣装ケースから消えていました。

 何時からだったろうか、年に弐回程の密会です。(婿君様・周辺は逢瀬を勧めているようです。勿論彼女も然りです)此の不条理をメインに徒然に(と、言えば格好いいのですが、気の向く儘にです)書いて行きたく思って居ます。ええ、反省と言ってもいいのでは、とも思うのですが。通りすがりの諸賢・ブロガー諸賢様宜しくお願い致します。

本メッセージに関わりになられた全ての人に、溢れる幸せと零れる喜びが、今迄も今も以後も久遠に数多あります様に。


「ひろ子、ソㇾならタナカは何処だろう。サトウでもいいんだけれど」 スーパーに付き合って、鱸(スズキ)魚を見ていた恋人に、僕はトークサービスも兼ねて言った。 「おまえ」。と苦笑しながら憐れむような流し目をくれて、 「ココでソレを言うか。タナカは売れて、さとう(砂糖)はアレだろう」




と、向かいの棚を指差して言った。 「はあ、さとう・サトウ・砂糖......」僕がブツブツ口ごもっていると、 「おまえ、それも言うなら『イトウ』だろう。あんなに巨大な魚がここに居るか」 等と尻を叩かれ、剰えケリを入れられそうになったので、コレはヤバイとコノ辺りでケリをつけた。 





もお二十五年以上昔。初冬のスーパーマーケットでのこぼれ話です。年の暮れ、魚を見ていると思い出す

恋人とのデート(?)でもありました。 或る日忽然と煙の様に消えた恋人。 
「私は幸せだよ。心配しないで」と、風の便りで聞いたのだが......。


お付き合い有難うございました。
では亦。(^_^;)




今年度の事業費1億2000万円のうち、7割を負担する市の財政難やコロナ禍による

企業協賛金の減少も影響。寄付などはままならなかったようですネ。

(「財政難」と言い乍ら24年度までの新庁舎の計画はあるんですけどネ。

分かりません)  

                        


特報!! 
市などは今後、民間主体のイベントでライトアップ機材を貸し出すなどして支援し、
「花灯路」の名称使用も認める方向で検討しているとの情報。
朗報へ展開出来ないものか?! 


ブロガー諸賢・他数多諸賢様、よろしくお願いいたします。

             

            

 


「京都・花灯路」閉幕のご案内
 「京都ワンダフル・ミラクル」と、世界的な好評を博していました京都の観光名所をライトアップ・生け花で彩ってきた大イヴェントが、今回を最後に数多人々に惜しまれながら20年目の閉幕となります。市・協議会が2002年度に始めた役割は一定程度果たしたとの評価を得乍ら。

                                      

 

亦、市の財政難・コロナ禍での協賛金の減少が一因。  
 嵐山花灯路は12/10~12/19。17時~20時30迄。清水寺の周辺などでは、来年3/4~3/13迄が予定されています。何れも散策は無料。 ブロガー諸賢、万障繰り合わせの上、是非今回で最後の大イヴェントに御来京下さい。お待ち申しております。

 

                            

彼岸花の球根には、リコリス属(ヒガンバナ属)の植物に見られる、強い毒性のある

「リコリン」という物質が含まれており、人間が誤食すると死に至る場合もあるそうです。

この毒性が、モグラやネズミを田畑に寄せ付けない効果を持つそうで、先人たちがあぜ道に

彼岸花を植えた根拠の様です。


前回の「彼岸花」と伴にご覧ください。

 

彼岸花花咲く後に葉が伸びる
なんだってネ。
通常の開花とは逆なので、彼岸の花と、聞きました。

黄泉の世界は、コチラ(此岸の表現あり)とは逆で、「死の後生きる」(此岸では、
生の後死す)等は、常人にはついて行けない世界のようですネ。

今日も何かいいことがあります様に。
では亦。(^^ゞ

        ヒガンバナ-001


夏山の雲のたなびき遠く見る

 アレは何時かのイワシ雲かも

 

駐車場。


「わァーーーオッ、鯖!!」

コケティッシュが故意なのか否か分かり兼ねる恋人。

見上げた夏空に異様な雲が架かっていました。

 

    

「アレは鰯(イワシ)雲だよ」

と、僕が言うと、恋人は「イヤ違う。アレは鯖(サバ)雲だ」

と、持ち前の一癖を披露し、異を唱えました。僕は「ソンナ風にも言うんだろう」と、殊更再度

説明する迄もないかと、放置していると、

「しげおを負かした」と、得意そうに剰え黒目勝ちな目を尚黒くして、

僕の目を覗き込んで来ました。僕も負けじと眼力を当てると、暫し睨み合いになり

やがて、吹き出しました。

      

畢竟共に正解で、亦「羊・鱗雲」等とも呼称すると、辞書の案内に

再度二人吹き出しました。

 

酷暑が和らいだ夏から秋への頃でした。

もお昔と呼ばれるくらいの時は流れていましたが、不思議とソノ

時の経過は感じられませんでした。クロノス神の計らいであったのかも......。

ENDE.

お付き合いありがとうございました。
先日近くのショッピングでのことでした。
コロナ禍、増してやδ株の発出の折、十二分にご注意下さりますように。

 

 

すれ違い今遇う他人に思い遣り
若しや母堂と思ひけるかも

      京都 大文字送り火-001
                 
今年は豪雨や剰え「外出の自粛」などが一般的になっているので、常のお墓参りは
置いて、何時ぞやのことに思いを馳せていました。(盂蘭盆、当日は間歇豪雨で参拝は
憚られたと想像します)。

八月は十六日です。送り火の日です。
     
     京都 大文字送り火-004

今年も去年同様、慎ましくです。
ヤハリ寂しさは否めません。

ご先祖様は無事に彼岸へお戻りになられただろうか。

気がつけば足の寒さの想ひあり

褥柔肌アレは何時かと

          川に足を浸ける-001
         
水に足を浸して、「少し冷たいナァぁあ」と気ずく夢があります。
ソレ迄、布団から足を出して眠っていたことは何度かあるのですが、ソンナ夢を
見ることはなかったのです。「ああ、ソオか。予備の毛布を掛けてくれたんだなああ。
 優しいんだなああ。ありがとう」と、頬にキスすると「うーーうん」と、醒めているのか
分からない、生返事のような表情がありました。


「どおしてるかな嗚呼あぁあ」と、寂寥感と懐かしさの交錯が襲来する朝でもあります。

             紅葉の嵐山-003

コロナ禍や褥如何にと尋ぬれば

朝の夢さへ言ふに及ばず


「裕子との馴れ初め」
    我儘姫の恋人      
触れた手が 時の運とは 言ふものの
たれか知るらむ 恋の行くえを

【擦れ違った女性】
それは未だ寒さが少し残る、三月は初め昼下りの午後のことでした。
僕は繁華街の書店で一冊の文庫本を求め、(出版社の違うソレはありました)
その文庫本を皮のケースに入れて、そそくさとバイト先へ向かっていました。
軽く持つ程度だったこともあったのでしょう。擦れ違った女性に手が当たり、
その文庫本が宙に舞い、有ろうことかソノ女性の前に着陸し、足で踏んずけられる状態になりました。振り向き様僕は少し怒鳴っていました。(だと思います。普通ソンナことはないのですが)
「あッ?!俺が命の次に大事にしてる本を......」
僕は何時になく声を上げソノ女性に抗議しました。道擦れ違う人、数多有るも殆どの人は我関せずの素知らぬ様子で傍を通り過ぎます。ソノ若い女性は立ち止まり本を拾い上げ、ページを一枚捲りそのタイトルを見て、怪訝な様子で
「何コレ......」
ニーチェ-003

                  「この人を見よ」 ニーチェ

【萬札で弁償】
「失敬な。踏んずけたんだから、謝罪ぐらいしたらどうですか......」
「弁償すればいいんでしょ」
と、言ってソノ女性は財布より萬札を取り出し一枚寄越しました。
「な、何でこんなことになるんですか!」
「だって命の次なんでしょ、此の文庫本。未だ足りないかしら」
真面目とも不真面目とも付かないような様子で応える彼女に、僕は半ば飽きれ
「ではネ、お聞きしますがお姫様、貴女に命の次に大事にしている書籍はありますか?」
謝罪もせず、大金を寄越して来る彼女に続いて何と抗議して良いのか分からず、何故かそんなセンテンスが口をついて出ました。ソノ女性は少し考えた様子で、
「さようなご本はございません。私は本の虫ではございません」
「そうだろうな、人の書籍を踏んずけて謝りもしないコモンセンスもないお姫様。
金を渡して良しとする、その軽い思想のキャベツ頭」

【猛然と言って来たソノ女性】
カチンと来た僕は一寸言い過ぎかなあとも思い乍ら、キャベツ頭迄言ってしまった。
一寸後悔している僕を見透かしたのか、彼女は猛然と言って来た。
「キャベツ頭とは何よ、お姫様なんて茶化すのは止めて。“命”なんて言うから
 ソンナことになるのよ、未だ足りなかったら言ってよ」
と言って終には通路に伏せる様な状態で泣き出してしまいました。
四条通り-003
                書籍が宙を舞った辺り

“俺は何してるんだろう”等と思い乍らハッと我に返り周りを見れば、横に陣取ったとは言え、周囲には人だかりが出来ていました。焦った僕は、“マズイ”と思い周囲野次馬の面々に、「兄妹喧嘩です。ご心配なさらずお行き下さい。ご迷惑をお掛けして申し訳有りません。云々」こんな趣旨のことを言ったと思います。悪くすれば近くのポリボックスからポリの一人くらいは駆けてやってきそうでもありました。

「お姫様いや違う、お嬢さん僕が悪かった。言い過ぎましたご免ネ、コーヒーブレイクでもしませんか」急いでいました。バイトの時間が迫ってきている精もあって早く切り上げて退散したいのに口をついて出たのは真逆のセンテンスでした。焦りも手伝ってのことでしょう。
「そんな甘いこと言って、私を何処かへ連れて行って、変な悪戯でもしようとしてるでしょ。ソノにやけた顔にちゃんと書いてあるわ。フン、ソノ手に乗って騙されるもんか......」伏せている彼女と同じ姿勢になり、覗き込む様に目を見ると、黒目勝ちな円らな瞳の長い睫毛に大粒の涙を溜め、“何を負けるもんか”の眼光でキッと僕を睨み返して来ました。
「し、失敬な。ことの始まりは君が僕の書籍を踏んずけて、何の謝りもしないからじゃないですか。言っておきますが僕はこれでも多忙なんですよ。これからバイトです。何処かのお姫様とは違います」
「だから言ったじゃない。弁償するから幾ら足りないのか言ってって......」
「いいえ、弁償は要りません。此の書籍の副タイトルに書いて置きます。『何処かのお姫様に買ったばかりを踏んずけられた書』ってネ」
「それじゃあ私が教養の仇敵の様じゃない。変なこと書かないで......」
裕子-01



【魅惑の母君。裕子さん、どうなさったの】
「裕子さん、どうなさったの。こちらのハンサムな方とお知り合い」
鼻筋の通った色白の端麗なマスクに、センスのいい白っぽい色のワンピ姿の中年女性が、僕の後ろから歌う様に話し掛けて来た。微かにシャネルの香りを漂わせ乍ら......。
「あッ、お母様。コノ頑固頭の本の虫が......」
「まあぁ、裕子さん“頑固頭”などの決め付けはあまり関心しませんわ。貴方、娘が失礼なことを言ってしまった様でご免なさいネ」
母親は娘を少し詰り、僕に謝罪の旨を述べた。母親が喋っているのを聞いていると、爽やかな春風が通り過ぎていくのを感じた。僕は母親の白い透き通るような頬と薄紅いルージュの唇から発せられる言葉が、音楽の旋律の様に響き暫し聞き惚れていた。                          
Em xinh khoe ngực trắng ngần.jpg-1680-2318
 
「学生さん、この近くに美味しいおコーヒーを点てて下さるお店がございます。貴方、宜しければご一緒して下さらない。娘が失礼な言葉をお掛けしたようですし......」
その魅力的な母親は、僕を行きつけの喫茶室に誘ってくれたが、“行きたいとバイト”が相克してやはりバイトが勝した。猫の手も借りたい程の繁忙を極めていた店。やはり仲間に迷惑は掛けられなかったし、僅かばかりの不安がない訳でもなかったから......。
                   
【貴方、私の何番目かの彼氏にしてあげてもいいわ】
「そお、未練ネ。じゃあぁ、コレを差し上げます。ええ、娘の携帯のナンバーとメアドです。貴方はいいお方の様。私分かるんです。ご迷惑でなければ娘の話し相手になって下さらない」
紹介再になるが、鼻筋の通った端麗なマスク、白い透き通るような頬、品よく僅か尖った顎が、時折僕の目を覗き込む様にして話しかけて来た。ソノ度に僕は不思議な静澄感とシャネル香と少しのシュール感を感じた。
「‏裕子さん、学生さんお勤め多忙ですって。お暇(いとま)するって仰ってるわ、貴女ご挨拶なさいませ」
魅力的な母親は娘に僕への挨拶を促した。
くだんの女性は、バッグから取り出した詩集(だと思う)を目で追い、聞き耳を立てている様にも見えた。
 「お姫様は器用な女性(人)だなあぁーーー。それに母親の娘に対する気遣い、二人は本当の母娘なんだろうか......」
そんなプライバシーにも関わること等にも思いを馳せていると、
「失礼しました。貴方、私の何番目かの彼氏にしてあげてもいいわ」
              8-14-8時20分

と、歌う様に、無邪気と言うのだろうか。周囲に全く臆することなく、不思議な感
じ印象を与え僕に言った。そお、さっきの黒目勝ちな円らな瞳の長い睫毛に大粒の涙を溜め、“何を負けるもんか”の眼光でキッと僕を睨み返していたアノ彼女は何処へ行ったのだろう。天真爛漫さに天使が顕われたんだろうか。こんな奇妙なこともあるんだろうか。 僕は不思議な快さとこれから起こることへの興味も手伝って、不思議なお姫様を「コレは夢かウツツか何れなんだろうか」等と、思い少しポカンとしながら聞いていた。
                          
「裕子さん、貴女って方は......」
母親に少し焦りの色も見えたが、此れを越えて尚諭すことはしなかった。
家族、少なくとも母娘の関係は悟れた。

「ああそうですか、順位は成るべくトップに近い方でお願いします」
ジョークが分かる家族なんだろうなあと思い乍ら、チクリと一矢入れて返した。
 「ソレは貴方の努力と能力次第です。頑張って下さい」
急に試験官の様な口調と態度で事務的に女性は僕に告げた。
「はぁ......」僕は亦コノ豹変ぶりに、奇妙な感覚に陥り、状況についていくのがやっとのことだった。
「だけど、あなたは母上の推薦があるようだから、得点は差し上げます」
と、目を見張り息を忘れる様な魅惑の美人は少し悪戯ぽく笑った。

魅力的な母親と僕は眼を見合い乍ら苦笑した。そして笑った。娘も遅れはイケナイと思ったのだろう、(多分)加わって三人で笑った。

                    
                    
京都は四条河原町から北西へ七・八分の公園でのことでした。
もお二十年以上昔の、未だ寒さが少し残る、三月は初め午後の三時を少し回った頃のことでした。因みに公園は繁華街を歩き疲れた恋人達が憩う処、デートで待ち合わせる場所、果ては未だ明るいのに酩酊気味酔客もが酔いを醒ます所でもありました。そう言えば、〇活のロマンポルノを上演している映画館等、文芸作品も上演している映画館群が公園の南側にありました。
カフェテラス
ENDE.        くだんの公園(イメージに相違あるをご容赦ください)

【少し長い目のエピローグ】
幾度かデートした或る時、ひろ子が言うに、
「貴女、『この人を見よ』ってニーチェよ、この詩人哲学者を愛読している人は
そうは居られないわ。私は掛けたの、あの学生さんに」
「おまえ、母上を軽率で世間知らずな思慮の浅い女だと思っただろう。初対面の見ず知らずの男子学生に個人情報を教えるなんて。でも違う、全く違うんだ。そこには人間観察眼に長けた母上の深く鋭い読みがあったのだ」
「軽率・思慮不足。そうだなあぁーーーッ、ソレはそうかも知れないなあぁ。だけど、ソレ以上に買い被りもあるんじゃないかと思って、それなら後でしんどくなる」
「おまえ、情けないことを言うな。母上に言いつけるぞ」
「それは困るなああ」
「そうだろう。困るだろう......」
裕子は“おまえの弱みは握っているぞ”と、憐れむ様に流し目を呉れて言った。
亦母親に似た鼻筋の通った端麗なマスク、白い透き通るような頬、女を感じさせる項・頸筋・肩から流れ括れる腰のライン大腿部には、眞に成熟した女が息ずいていた。ソノ彼女が僕の眼を覗き込み、私も母上と同じ思いだ、と眼力を当てて来た。僕はソノ目をしっかり見返して、
「ひろ子、キスしてもいいか」と、尋ねた。
「おまえ、私の話ちゃんと聞いているのか」
裕子は少しムッとした様子で尚も僕の眼をジーーッと見て来た。
「聞いているよ」
と、僕は真顔で応えた。有難う。お前の母君の見立てに誤りがなかった様に、懸命に努力するよ、との思いを込めながら。
「そうか、その様にお願いします」
と、裕子は安堵と喜びの様相をソノ端麗なマスクに見せ、静かに頷いてやがて眼を閉じた......。

了。



「お知らせとお願い」
「ニーチェ」がヒトラーを支えて、導いているなんてデマゴーグに眩惑されません様に。
                ニーチェ-001
                ニーチェ                 
勿論「ニーチェ」と言えば、「永劫回帰の思想」です。処女作が「悲劇の誕生」で、
ラストは「権力への意志」(未完)です。著作物については後程亦紹介するとして、先ず注意を促すとの意で次のことからご理解下さい。

“同じものが寸分違わず永劫に帰って来る”と言うコノ思想は、(ソクラテス以前のギリシャに近似的に散在は認められる)永劫の自己克服の極限の形式です。ニーチェは言っています。「私が回帰を創造したソノ瞬間は不滅である。ソノ瞬間故に私は回帰に耐える」眞に主体者自身、単独者(キルケゴール流に言えば)へ向っての自己克服・探究・洞察・自己復権の哲学です。永劫の深淵から未だ耀き出でざる数多の曙光を、白日の下に明らかにする云々。

然るにおおよそ話題にさえならない筈なのに、「ニーチェ」を時の御用学者のトンデモ解釈で(妹エリザベートの偽作・改竄等が問題)、ヒトラーの歴史的政治思想に捻じ曲げて悪用されたことは、ソノ領域のコモンセンスになっています。ジョルジュ・バタイユをはじめピエール・クロソウスキー、アンドレ・マッソン、ロジェ・カイヨワらによる同人誌『無頭人(アセファル)』(1936年 - 1939年)などが有名です。 ですから間違っても、「ニーチェ」がヒトラーを支えて導いているなんて三流のデマゴーグやプロパガンダに眩惑されること等ありませんように、声を大にしてお知らせご教示させて頂きます。取り合えずご了解宜しくお願い申し上げます。末尾迄お付き合い誠に有難うございました。
取り急ぎご教示・ご報告迄。
亦、時・気・様況等が許される様であれば、コメ等頂ければ望外の喜びです。
                    虹-016


【裕子の想い出】

「裕子との馴れ初め」

    我儘姫の恋人      
触れた手が 時の運とは 言ふものの
たれか知るらむ 恋の行くえを

【擦れ違った女性】
それは未だ寒さが少し残る、三月は初め昼下りの午後のことでした。
僕は繁華街の書店で一冊の文庫本を求め、(出版社の違うソレはありました)
その文庫本を皮のケースに入れて、そそくさとバイト先へ向かっていました。
軽く持つ程度だったこともあったのでしょう。擦れ違った女性に手が当たり、
その文庫本が宙に舞い、有ろうことかソノ女性の前に着陸し、足で踏んずけられる状態になりました。振り向き様僕は少し怒鳴っていました。(だと思います。普通ソンナことはないのですが)
「あッ?!俺が命の次に大事にしてる本を......」
僕は何時になく声を上げソノ女性に抗議しました。道擦れ違う人、数多有るも殆どの人は我関せずの素知らぬ様子で傍を通り過ぎます。ソノ若い女性は立ち止まり本を拾い上げ、ページを一枚捲りそのタイトルを見て、怪訝な様子で
「何コレ......」
ニーチェ-003

                  「この人を見よ」 ニーチェ

【萬札で弁償】
「失敬な。踏んずけたんだから、謝罪ぐらいしたらどうですか......」
「弁償すればいいんでしょ」
と、言ってソノ女性は財布より萬札を取り出し一枚寄越しました。
「な、何でこんなことになるんですか!」
「だって命の次なんでしょ、此の文庫本。未だ足りないかしら」
真面目とも不真面目とも付かないような様子で応える彼女に、僕は半ば飽きれ
「ではネ、お聞きしますがお姫様、貴女に命の次に大事にしている書籍はありますか?」
謝罪もせず、大金を寄越して来る彼女に続いて何と抗議して良いのか分からず、何故かそんなセンテンスが口をついて出ました。ソノ女性は少し考えた様子で、
「さようなご本はございません。私は本の虫ではございません」
「そうだろうな、人の書籍を踏んずけて謝りもしないコモンセンスもないお姫様。
金を渡して良しとする、その軽い思想のキャベツ頭」

【猛然と言って来たソノ女性】
カチンと来た僕は一寸言い過ぎかなあとも思い乍ら、キャベツ頭迄言ってしまった。
一寸後悔している僕を見透かしたのか、彼女は猛然と言って来た。
「キャベツ頭とは何よ、お姫様なんて茶化すのは止めて。“命”なんて言うから
 ソンナことになるのよ、未だ足りなかったら言ってよ」
と言って終には通路に伏せる様な状態で泣き出してしまいました。
四条通り-003
                書籍が宙を舞った辺り

“俺は何してるんだろう”等と思い乍らハッと我に返り周りを見れば、横に陣取ったとは言え、周囲には人だかりが出来ていました。焦った僕は、“マズイ”と思い周囲野次馬の面々に、「兄妹喧嘩です。ご心配なさらずお行き下さい。ご迷惑をお掛けして申し訳有りません。云々」こんな趣旨のことを言ったと思います。悪くすれば近くのポリボックスからポリの一人くらいは駆けてやってきそうでもありました。

「お姫様いや違う、お嬢さん僕が悪かった。言い過ぎましたご免ネ、コーヒーブレイクでもしませんか」急いでいました。バイトの時間が迫ってきている精もあって早く切り上げて退散したいのに口をついて出たのは真逆のセンテンスでした。焦りも手伝ってのことでしょう。
「そんな甘いこと言って、私を何処かへ連れて行って、変な悪戯でもしようとしてるでしょ。ソノにやけた顔にちゃんと書いてあるわ。フン、ソノ手に乗って騙されるもんか......」伏せている彼女と同じ姿勢になり、覗き込む様に目を見ると、黒目勝ちな円らな瞳の長い睫毛に大粒の涙を溜め、“何を負けるもんか”の眼光でキッと僕を睨み返して来ました。
「し、失敬な。ことの始まりは君が僕の書籍を踏んずけて、何の謝りもしないからじゃないですか。言っておきますが僕はこれでも多忙なんですよ。これからバイトです。何処かのお姫様とは違います」
「だから言ったじゃない。弁償するから幾ら足りないのか言ってって......」
「いいえ、弁償は要りません。此の書籍の副タイトルに書いて置きます。『何処かのお姫様に買ったばかりを踏んずけられた書』ってネ」
「それじゃあ私が教養の仇敵の様じゃない。変なこと書かないで......」
裕子-01



【魅惑の母君。裕子さん、どうなさったの】
「裕子さん、どうなさったの。こちらのハンサムな方とお知り合い」
鼻筋の通った色白の端麗なマスクに、センスのいい白っぽい色のワンピ姿の中年女性が、僕の後ろから歌う様に話し掛けて来た。微かにシャネルの香りを漂わせ乍ら......。
「あッ、お母様。コノ頑固頭の本の虫が......」
「まあぁ、裕子さん“頑固頭”などの決め付けはあまり関心しませんわ。貴方、娘が失礼なことを言ってしまった様でご免なさいネ」
母親は娘を少し詰り、僕に謝罪の旨を述べた。母親が喋っているのを聞いていると、爽やかな春風が通り過ぎていくのを感じた。僕は母親の白い透き通るような頬と薄紅いルージュの唇から発せられる言葉が、音楽の旋律の様に響き暫し聞き惚れていた。                          
Em xinh khoe ngực trắng ngần.jpg-1680-2318
 
「学生さん、この近くに美味しいおコーヒーを点てて下さるお店がございます。貴方、宜しければご一緒して下さらない。娘が失礼な言葉をお掛けしたようですし......」
その魅力的な母親は、僕を行きつけの喫茶室に誘ってくれたが、“行きたいとバイト”が相克してやはりバイトが勝した。猫の手も借りたい程の繁忙を極めていた店。やはり仲間に迷惑は掛けられなかったし、僅かばかりの不安がない訳でもなかったから......。
                   
【貴方、私の何番目かの彼氏にしてあげてもいいわ】
「そお、未練ネ。じゃあぁ、コレを差し上げます。ええ、娘の携帯のナンバーとメアドです。貴方はいいお方の様。私分かるんです。ご迷惑でなければ娘の話し相手になって下さらない」
紹介再になるが、鼻筋の通った端麗なマスク、白い透き通るような頬、品よく僅か尖った顎が、時折僕の目を覗き込む様にして話しかけて来た。ソノ度に僕は不思議な静澄感とシャネル香と少しのシュール感を感じた。
「‏裕子さん、学生さんお勤め多忙ですって。お暇(いとま)するって仰ってるわ、貴女ご挨拶なさいませ」
魅力的な母親は娘に僕への挨拶を促した。
くだんの女性は、バッグから取り出した詩集(だと思う)を目で追い、聞き耳を立てている様にも見えた。
 「お姫様は器用な女性(人)だなあぁーーー。それに母親の娘に対する気遣い、二人は本当の母娘なんだろうか......」
そんなプライバシーにも関わること等にも思いを馳せていると、
「失礼しました。貴方、私の何番目かの彼氏にしてあげてもいいわ」
              8-14-8時20分

と、歌う様に、無邪気と言うのだろうか。周囲に全く臆することなく、不思議な感
じ印象を与え僕に言った。そお、さっきの黒目勝ちな円らな瞳の長い睫毛に大粒の涙を溜め、“何を負けるもんか”の眼光でキッと僕を睨み返していたアノ彼女は何処へ行ったのだろう。天真爛漫さに天使が顕われたんだろうか。こんな奇妙なこともあるんだろうか。 僕は不思議な快さとこれから起こることへの興味も手伝って、不思議なお姫様を「コレは夢かウツツか何れなんだろうか」等と、思い少しポカンとしながら聞いていた。
                          
「裕子さん、貴女って方は......」
母親に少し焦りの色も見えたが、此れを越えて尚諭すことはしなかった。
家族、少なくとも母娘の関係は悟れた。

「ああそうですか、順位は成るべくトップに近い方でお願いします」
ジョークが分かる家族なんだろうなあと思い乍ら、チクリと一矢入れて返した。
 「ソレは貴方の努力と能力次第です。頑張って下さい」
急に試験官の様な口調と態度で事務的に女性は僕に告げた。
「はぁ......」僕は亦コノ豹変ぶりに、奇妙な感覚に陥り、状況についていくのがやっとのことだった。
「だけど、あなたは母上の推薦があるようだから、得点は差し上げます」
と、目を見張り息を忘れる様な魅惑の美人は少し悪戯ぽく笑った。

魅力的な母親と僕は眼を見合い乍ら苦笑した。そして笑った。娘も遅れはイケナイと思ったのだろう、(多分)加わって三人で笑った。

                    
                    
京都は四条河原町から北西へ七・八分の公園でのことでした。
もお二十年以上昔の、未だ寒さが少し残る、三月は初め午後の三時を少し回った頃のことでした。因みに公園は繁華街を歩き疲れた恋人達が憩う処、デートで待ち合わせる場所、果ては未だ明るいのに酩酊気味酔客もが酔いを醒ます所でもありました。そう言えば、〇活のロマンポルノを上演している映画館等、文芸作品も上演している映画館群が公園の南側にありました。
カフェテラス
ENDE.        くだんの公園(イメージに相違あるをご容赦ください)

【少し長い目のエピローグ】
幾度かデートした或る時、ひろ子が言うに、
「貴女、『この人を見よ』ってニーチェよ、この詩人哲学者を愛読している人は
そうは居られないわ。私は掛けたの、あの学生さんに」
「おまえ、母上を軽率で世間知らずな思慮の浅い女だと思っただろう。初対面の見ず知らずの男子学生に個人情報を教えるなんて。でも違う、全く違うんだ。そこには人間観察眼に長けた母上の深く鋭い読みがあったのだ」
「軽率・思慮不足。そうだなあぁーーーッ、ソレはそうかも知れないなあぁ。だけど、ソレ以上に買い被りもあるんじゃないかと思って、それなら後でしんどくなる」
「おまえ、情けないことを言うな。母上に言いつけるぞ」
「それは困るなああ」
「そうだろう。困るだろう......」
裕子は“おまえの弱みは握っているぞ”と、憐れむ様に流し目を呉れて言った。
亦母親に似た鼻筋の通った端麗なマスク、白い透き通るような頬、女を感じさせる項・頸筋・肩から流れ括れる腰のライン大腿部には、眞に成熟した女が息ずいていた。ソノ彼女が僕の眼を覗き込み、私も母上と同じ思いだ、と眼力を当てて来た。僕はソノ目をしっかり見返して、
「ひろ子、キスしてもいいか」と、尋ねた。
「おまえ、私の話ちゃんと聞いているのか」
裕子は少しムッとした様子で尚も僕の眼をジーーッと見て来た。
「聞いているよ」
と、僕は真顔で応えた。有難う。お前の母君の見立てに誤りがなかった様に、懸命に努力するよ、との思いを込めながら。
「そうか、その様にお願いします」
と、裕子は安堵と喜びの様相をソノ端麗なマスクに見せ、静かに頷いてやがて眼を閉じた......。

了。



「お知らせとお願い」
「ニーチェ」がヒトラーを支えて、導いているなんてデマゴーグに眩惑されません様に。
                ニーチェ-001
                ニーチェ                 
勿論「ニーチェ」と言えば、「永劫回帰の思想」です。処女作が「悲劇の誕生」で、
ラストは「権力への意志」(未完)です。著作物については後程亦紹介するとして、先ず注意を促すとの意で次のことからご理解下さい。

“同じものが寸分違わず永劫に帰って来る”と言うコノ思想は、(ソクラテス以前のギリシャに近似的に散在は認められる)永劫の自己克服の極限の形式です。ニーチェは言っています。「私が回帰を創造したソノ瞬間は不滅である。ソノ瞬間故に私は回帰に耐える」眞に主体者自身、単独者(キルケゴール流に言えば)へ向っての自己克服・探究・洞察・自己復権の哲学です。永劫の深淵から未だ耀き出でざる数多の曙光を、白日の下に明らかにする云々。

然るにおおよそ話題にさえならない筈なのに、「ニーチェ」を時の御用学者のトンデモ解釈で(妹エリザベートの偽作・改竄等が問題)、ヒトラーの歴史的政治思想に捻じ曲げて悪用されたことは、ソノ領域のコモンセンスになっています。ジョルジュ・バタイユをはじめピエール・クロソウスキー、アンドレ・マッソン、ロジェ・カイヨワらによる同人誌『無頭人(アセファル)』(1936年 - 1939年)などが有名です。 ですから間違っても、「ニーチェ」がヒトラーを支えて導いているなんて三流のデマゴーグやプロパガンダに眩惑されること等ありませんように、声を大にしてお知らせご教示させて頂きます。取り合えずご了解宜しくお願い申し上げます。末尾迄お付き合い誠に有難うございました。
取り急ぎご教示・ご報告迄。
亦、時・気・様況等が許される様であれば、コメ等頂ければ望外の喜びです。
                    虹-016

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